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太陽 ソクーロフ

昭和天皇を描いた作品とあって公開の危機などいろんな噂がながれましたが、結局上映する映画館もでてきて、dvdまで発売された作品です。

 

太陽 [DVD]

太陽 [DVD]

 

 


ロシア映画といえば、やっぱりタルコフスキーなんかが一番最初に思い浮かびます。その彼に最初の映画「孤独な声」を評価してもらったソクーロフ。その後ソクーロフの推薦により、ロシアの伝統ある名門撮影所「レンフィルム」へ推薦をうけるわけです。
彼は歴史上の重要人物を映画化することを何度かしており、ヒットラーやレーニンなども撮影しています。

 内容は1945年の8月の日本を舞台に昭和天皇の苦悩を描いた作品。現人神であった昭和天皇が人になるまでのほんの短い期間を描いただけの作品なのだが、本当にいろんなことが盛りこんでありました。
 映画を観るまでは一体どのような描き方をしてるのかなとおもっていたのですが、さすがソクーロフ。美的で静かに訴える。ものすごい緊張感があります。でもどこか今までのソクーロフ映画とは違いコミカルな感じがみられる。それはどうしてなのかな?やっぱり演じた人がイッセー尾形だったからなのかしら?脚本も彼と一緒に仕事してる森田さんがてがけているので、いきもぴったり、よくできているというのもある。彼のような声帯模写をする人ならもっと昭和天皇ににせることもできただろうに、メイクもマネも極力最小限に抑えている。
だから逆に演技がひかってるのもかもしれない。

象徴的なシーンが色々とでてくるのですが、そのシーンが本当に怖い。学者としての一面をみせるカニとのシーン。庭園の鶴のワンシーン。戦禍の東京を車の中から天皇の視線からみせるシーン。バラと戯れる写真撮影。
残虐な映像を見せつけられて戦争の怖さを説くのではなく静なのに、緊張感がある。それが逆にこわい。そしていかに昭和天皇が知的な人だったかがわかるように伏線が張ってある。この見せ方もとてもうまい。
あんなに知的な人なのに、周りの人達の板挟みで彼は本当に無能な人間としてしか当時は存在しえなかった。

何でも知ってるのに、何もしらない素振りをする天皇を淡々と描く。

 この映画エンディングが切ない。
最後の数分。皇后と天皇の仲睦まじい姿が描きだされる。
皇后にむかって自分が人であるという決断をしたと告げる天皇
 国民のためを思い、現人神であったのに国民を救えなかった彼にさらなる不幸が襲うのだ。

 その不幸をききながら皇后の顔が逆光を浴び怖いように歪む。

今さっきやっと手をとり子供たちの顔をみるために微笑すら浮かべていた彼らの顔が硬直するのだ。
 
 立ち止まる天皇をぐいっとひっぱり陽の下へ連れて行く皇后。

映画はそこで終わる。

 エンディングロールみながら思ったのは、やっぱりこの作品がロシア映画というのが残念だった。日本人が早く天皇についてこのように描ける日がきてほしい。
 それにしてもソクーロフはビデオの人だったのかしら?背景が特有の歪みが生じていた。これがまたみていてなんともいえない味わいをだしていた。
 


映画 「太陽」 予告編 - YouTube

それにしてもイッセーさんにてたなぁ。

 

映画『太陽』オフィシャルブック

映画『太陽』オフィシャルブック

 

 

監督 アレクサンドル・ソクーロフ 

彼が作ったそのほかの作品


ボヴァリー夫人(1989・2009) - YouTube 

これもみてみたいですね。まだ見てないので機会を見つけてみてみよう。衣装がなんとクリスチャンディオール